【紹介文】
1958年の夏。当時、12歳のわたし(デイビィッド)は、隣の家に引っ越して来た美しい少女メグと出会い、一瞬にして、心を奪われる。メグと妹のスーザンは両親を交通事故で亡くし、隣のルース・チャンドラーに引き取られて来たのだった。隣家の少女に心躍らせるわたしはある日、ルースG姉妹を折檻している場面に出会いショックを受けるが、ただ傍観しているだけだった。ルースの虐待は日に日にひどくなり、やがてメグは地下室に監禁され、さらに残酷な暴行を―。(訳/金子浩、解説/スティーヴン・キング)
【総合評価】 ☆☆☆★★(満点は☆5つ)
感動度 ☆☆☆★★
実用度 ☆★★★★
読み易さ ☆☆☆☆☆
【西京極の読後感想】
醜いモノ、恐ろしいモノを見たい、知りたいと思う本能を人間は持っている。本作はそういった醜いモノに最も近く且つ安全な立ち位置を読者に用意してくれる。その結果、読み終わった後「犯罪をヤジ馬として楽しんでいた事」に気付いて、何とも言えぬ罪悪感を抱かせる。結局一番恐ろしいのは、犯罪を他人事として傍観したいと思う人の心の闇なのだ。