西京極 紫の館

京都サンガF.C.サポーターの日常をつづるblog。試合観戦のレビューの他にも趣味の映画や音楽、読書の感想なども書いていきます。

完全なる報復  監督/F・ゲイリー・グレイ


【出演】
 ジェラルド・バトラー
 ジェイミー・フォックス
 コルム・ミーニィ

【ストーリー】
クライドの妻子を惨殺した強盗犯が、担当検事ニックの独断による司法取引によって極刑を免れる。それから10年後、短い刑期を終えていた犯人が惨殺される。この事件でクライドは自分が殺したことを認め、家族を貶めた司法制度の不備と整備を訴えた。そしてそれが出来なければ裁判に関わった者の命はないと殺害を予告。これによりクライドは収監されるが、彼の予告通り一人また一人と殺人が実行されていく。ニックは懸命に食い止め様とするが、共謀者の有無、独房から犯行がなぜ出来るのか、謎は解けない。クライドの正義の名の下に行われる犯行は続き、フィラデルフィア全市を恐怖へと陥れていく…

【西京極の評価】
原題「Low Abiding Citizen」は“法律に従う国民”の意味。これはとてつもなく皮肉なタイトルである。なぜならこの映画には法に立ち向かう男を描いているからである。この映画で描くのは邦題にある“報復”とか一般的な“復讐劇”ではない。これは司法取引というシステムを許しているアメリカの法制度に対する挑戦―ひいては“正義”とは何かという強烈な問いかけではなかろうか?偶然にも今読みかけているマイケル・サンデル著『これからの「正義」の話をしよう』の内容に今作は完全にリンクしている。サンデル風に言えば、J・フォックス扮する検事ニックはベンサム的・功利主義に基づく正義の実践者であり、G・バトラー扮するクライドはカント的・道徳至上主義に基づく正義の執行者である。テーマの重さに比べるとややオチのつけ方が軽い気もするが、どちらの正義が勝利するのか…ラストまで目が離せない。この映画を観る前にサンデルの著書を読むと一層楽しめて、より深く考えさせられるはず。
最後に…僕にとって嬉しかったのは「スタートレック/DS9」「ヴォイジャー」で活躍したオブライエン役のコルム・ミーニィが渋い刑事役を演じてます♪トレッキーの方にはおススメです!

【総合評価】 ☆☆☆☆★(満点は☆5つ)
 ストーリー ☆☆☆☆★
 演出    ☆☆☆☆☆
 映像    ☆☆☆☆★
 音響    ☆☆☆☆★

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