【紹介文】
兄・秀吉の片腕として内政・軍事両面で辣腕を揮った一方、晩年を過ごした
大和郡山では温厚なその人柄から大和大納言ではなく“秀長さん”と呼ばれ親しまれている戦国武将
豊臣秀長。その魅力に惹かれた著者が10年余の現地取材を敢行、3年半をかけて執筆した長編
歴史小説。
【総合評価】 ☆☆★★★(満点は☆5つ)
ドラマ性 ☆★★★★
独創性 ☆★★★★
読み易さ ☆☆☆☆★
【西京極の読後感想】
兎に角、著者が秀長という人物に、とことん心酔しておられるのがビシバシ伝わります。ただ、そのせいで秀吉、秀長絡みのエピソードで非人道的な事件
たとえば
黒田官兵衛が軟禁されてるのに早々と見捨てた
荒木村重の謀反
だったりはすっぱりと無視されてます。昨今では冷酷非情な扱われ方が多い
織田信長も、秀長にはとても優しく接するイイ人として描かれていたり…ここまで徹底していると、文句を言うより、微笑ましい。イイ人の周りにはイイ人しか集まらない、
イイ人オンパレードな珍しい歴史小説…というより趣味の小説です。でも、悪しき所も描いてこそリアリティを感じられると思うけどなぁ、僕は。