さあ、ホールデンの声に耳を澄ませてください。村上春樹の新しい訳でお届けする新世代の『ライ麦畑でつかまえて』。J.D.サリンジャーの不朽の青春文学『ライ麦畑でつかまえて』が、村上春樹の新しい訳を得て、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』として40年ぶりに生まれ変わりました。ホールデン・コールフィールドが永遠に16歳でありつづけるのと同じように、この小説はあなたの中に、いつまでも留まることでしょう。雪が降るように、風がそよぐように、川が流れるように、ホールデン・コールフィールドは魂のひとつのありかとなって、時代を超え、世代を超え、この世界に存在しているのです。さあ、ホールデンの声に(もう一度)耳を澄ませてください。
【総合評価】 ☆☆☆★★(満点は☆5つ)
ドラマ性 ☆☆☆★★
独創性 ☆☆☆★★
読み易さ ☆☆☆☆★
【西京極の読後感想】
『グレート・ギャツビー』はラストが自分にとって予想外で面白かった。同じ村上春樹和訳のペーパーバック版だが、この『キャッチャー・イン・ザ・ライ』はいまひとつその良さが理解出来なかった。主人公のホールデンは周囲の大人や、世の中の仕組みをことごとく嫌い、罵る。きっと“大人でもなく、子供でもない”存在で、周囲の都合によって大人扱いされたり、子供扱いされたりする16歳という時代が、その行動・言動をひねくれたものにしているのだろう。僕自身も16歳の頃はそうだったかもしれない。けれど、その“子供の屁理屈”を読まされ続けるのは最早オッサンになってしまった僕の感性には辛過ぎる。自分が16歳の頃にこの小説を読んだらまた印象は違っていただろうナ。
