西京極 紫の館

京都サンガF.C.サポーターの日常をつづるblog。試合観戦のレビューの他にも趣味の映画や音楽、読書の感想なども書いていきます。

夜の黒豹  横溝正史/著  角川書店


【紹介文】
金田一耕助は等々力警部とともに、異様な事件現場に急行した。連れ込み宿のベッドに女が縛り付けられて縊死している。その胸部には殴りがきのトカゲの絵が残され、部屋はなぜか水浸し。さらに事件の直前、近くのホテルでは、未遂に終わった同様の事件をベルボーイが目撃していた。だが、警察に事情を話した直後、彼は何者かに轢き逃げされてしまい……。愛と欲にまみれた連続殺人事件の真相に金田一が挑む、名作本格ミステリ

【総合評価】 ☆☆☆★★(満点は☆5つ)
 ドラマ性 ☆☆★★★
  独創性 ☆☆☆★★
 読み易さ ☆☆☆☆★

【西京極の読後感想】
横溝正史没後40年および生誕120年記念企画で杉本一文の復刻カバー。金田一モノで未読だった本作。当時はこのカバー絵がエロ過ぎて買えなかったw内容をまったく知らずに読んだのですが、過去映画化もドラマ化もされなかったのも頷ける地味なストーリー。金田一本人は終始関係者の会話を傍らで聞く役に徹しているし、連続殺人事件といっても『悪魔の手毬唄』や『獄門島』の様な判じ物でもないし、『八つ墓村』みたいな大量殺人も起こらない。唯一の特徴は少女愛好者(いわゆるロリコン)と援交殺人という点で、本作が発表された昭和38年当時ならともかく現代ではさして猟奇的な事件でもない。謎解きも金田一本人が語らず、犯人自身が脳内で回想する形なので盛り上がりに欠ける。この時期の横溝正史は作家としてスランプだったんじゃないだろうか?

人気ブログランキングへ